3. 2母数IRTモデル

 

 2母数IRTモデルは、1母数IRTモデルに識別力を項目ごとに設定したモデルです。2母数IRTモデルも1母数モデル同様に正規累積型モデルとロジスティックモデルで表現できます。

 

 

2母数正規累積モデル(2 Parameter Normal Ogive Model)

 

 数式2-41母数正規累積のを数式3-1としたものが2母数正規累積型モデルです。

 ・・・ 3-1

 

 すると2母数正規累積型モデルは数式3-2で表すことができます。

 ・・・ 3-2

 

 

 

2母数ロジスティックモデル(2 Parameter Logistic Model)

 

 2PLM1PLM同様にロジスティック関数を利用して表現することができます。実際に2PLMを表すと数式3-3のようになります。

 ・・・ 3-3

 

 ここで、新たに導入された識別力について解説します。識別力も数学的には-∞〜∞で定義されています。しかし、識別力が負の値になると数式3-1が単調減少関数になってしまいます。この場合、能力母数が高いほど正答率が低くなりテストでは矛盾した項目となってしまいます(アンケート調査などでは逆転項目として扱われるため2値反応を入れ替えて母数推定されます)。そこで、識別力は実質的に正の値のみで扱われます。識別力はICCの傾きとなっているので、値が小さければICCは緩やかな曲線、値が大きければICCは急激に直角に近くなるような曲線を描きます。

 

 

ICC

 

 2PLMでも、1PLM同様にICCを表現することができます。図3-1は、実際に2PLMICCを描いたものです。それぞれ、項目1()、項目2()、項目3()としたものです。

 

                                               3-1 2PLMICC

 

 識別力は、ICCの傾きを現しているので、項目1と項目2のようにICCが交差することもある。項目3は、項目1と同様の識別力なのでICCが平行となっている。また、図3-1ABの点に注目してみたい。点Aはθ=-0.5の被験者の項目1への正答確率を表した点です。点Bはθ=0.5の被験者の項目1への正答確率を表した点です。ここからみると、同一の困難度です項目1と項目2ですが、能力が低いθ=-0.5の被験者には項目1より項目2の方が難しい項目となっている。しかし、能力の高いθ=0.5の被験者には項目2より項目1の方が難しい項目となっている。このように、識別力が導入されたことによりICCに以上のような特徴が生じてくる。

 

 

 

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